扉が閉まると後ろには武器を持った男たちが私達を囲む。
 __危険だ。
 頭の中で理解した瞬間、心臓が騒ぎ出す。だけど隣にいる皇子は、ただ目の前にいる中大兄皇子を見据えていた。

「赤兄から聞いたぞ?」

 冷たい瞳が、ゆっくりと動く。そして舐めるように私達を見渡すと隣でピタリと止まる。

「赤兄と共に謀反を企てていたと」

 どこか楽しげな口調に腹が立つ。

「それは誠か?」

「そ、そのようなこと! 天に誓ってありませぬ!」

 塩谷さんが声を荒げると冷たい瞳が使用人に向けられる。すると次の瞬間には塩谷さんが倒れていた。