「どういうつもりだ! 優花殿は死にたいのか!?」と、皇子はとても怒っているけれどその言葉に私もムッとする。

「死にたいのかって、どうして皇子はもう死ぬつもりでいるのよっ」

 確かに危険な状況だけれど。結末は変えられないのかもしれないけど。
 __諦めたらここで本当に終わってしまう。
 私はこの目で、ゆらゆらと揺れる漆黒の瞳を見つめる。

「死にたいわけないでしょ? 私は誰にも死んで欲しくないよ」

 戸惑う塩谷さんと舎人さんの顔をしっかりと見つめる。

「皇子が死んだら塩谷さんも舎人さんも私も殺されるの」

 そんなこと、ここにいる皆がわかっていること。だけど……。

「だから皇子の命は一人だけのものじゃない」

 自分一人が死ねば全てが収まるなんて、そんな風に思って欲しくない。