浜田の話しをしっかり聞いておけばよかった。歴史をちゃんと勉強しておけばよかった。結局、私は後悔ばかりしている。

「そろそろ参りますぞ」

 遠くから使用人の声がすると皇子は大事そうに懐に歌をしまった。

 __飛鳥時代。
 __松の枝。
 __歌。

 偶然が重なれば確信に変わる。だけど信じたくなくて私はまた偶然だと誤魔化す。
 輿に戻ると私達はお互いあまり話すことなくただ手を握っていた。ここにお互いが存在することを確かめるように。