外から声が聞こえると輿が止まり降ろされるのがわかる。

「今日はこちらでお休みいただきます」

 どうやらこのまま輿の中で寝ろと言っているようだ。座ったままではエコノミー症候群になってしまう。文句の一つも言ってやりたかったけれど外で寝るのは怖い。 外で使用人が火を焚いているけれど、そんなの暖のレベルじゃない。

「寒いか?」

「大丈夫」

 そうやって造った笑みが引きつる。昨日の夜からご飯も食べていないから空腹で余計に寒さを感じる。そんな私を皇子はそっと抱き寄せる。