「食べないのか?」

 首を傾げる皇子に悟れないように微笑むと、もらった飴粒を太陽の光りに翳す。しかし私には綺麗に見えない。だけど隣りで皇子は大切そうにその粒を見つめている。
 同じ景色を見ていても同じ景色を見ることはできない。同じ境遇に立ったとしても同じ気持ちになることはできない。同じ時代にいても住むべき時代は違う。私達はどこまでも相容れない関係。

 “__奇跡”

 改めて実感する。皇子が私が一緒にいることは何よりもの奇跡。これ以上の奇跡を私はまだ知らない。