「何故このようなことを!」

 声を荒げる皇子は怒っているような泣いているよう顔をしている。私だってわからない。死ぬ覚悟だってできていない。それでも……。

「傍にいたいから」

 その気持ちだけが今の私を動かしている。

「この命は皇子に救ってもらった命。だから、これは私なりの忠義なの。私だって譲れない」

 泣きそうになるのを堪えて皇子の目を見つめる。