「ひっ!」

 物部さんはついに腰を抜かした。

「い、い、今の光りは!?」

「仏の御加護。あんたなんて簡単にこの念力で殺せるんだから!」

「な、な、何という」

 威厳をなくしたおじさんは、ただのおじさん。ざまあみろ。

「私も連れて行って」

「な、ならぬ!」

 後ろから皇子の声が聞こえるけど私だって譲れない。

「あと、手の拘束は解いて。逃げたりしないから」

 あんな姿、あまりに哀れだ。それに皇子はもう腹を括っている。だから絶対に逃げたりしない。 物部さんは使用人達に皇子と塩谷さんと舎人さんの紐を切らせた。