__死。

 その言葉が頭を過ぎる。怖い。死にたくない。だけど私は皇子の傍にいることを選んだ。

「私を誰だと思ってるの?」

 震えそうになる足に力を込めると地面をしっかりと踏みしめる。私にはこれしかない。ならば出来ることだけを全力でやるまで。

「私は月から来た兎の化身。私に刀を向けていいと思ってるの?」

 正解には月から落ちてきた兎だけれど物部さんは驚いた顔をしている。こんな大勢の前で、うさ耳フードを被ってこんな痛いことを言っている自分が恥ずかしい。
“__優花殿の存在は奇跡だ”
 だけど皇子の言葉が私を支えてくれている。