突然、やってきた私を。月から落ちた兎の化身なんて言う胡散臭い私を。皆優しく受け入れてくれた。感謝してもしきれない。

「本当に、ありがとう」

 本来なら出会うはずがなかった人。だけど今は大切な友達。

「……皆に会えてよかった。別れるのは寂しいけど、きっとまた会えるから」と、三人の顔を見て微笑む。すると、泣き出してしまった五月雨さんの背中にそっと触れる。
 __彼女とは、また未来で会える。ううん、未来で私を今も待っていてくれている。
 もしかしたら露さんと時雨さんともそうやってまた会えるかもしれない。いや、そう信じたいから「さようなら」は言わない。

「行くね」と、立ち上がる。
 私はまだ泣けない。まだ諦めたくはないから。

「優花殿!」

 呼び止める声を振り払うように走り出す。 また会える。そう信じて。