__最後まで。
 その言葉が私から熱を奪っていく。

「狙いは私だ。だから話しをつける」

 そう言って引き結ばれた唇は、もう覚悟を決めた顔。

「皆は逃げよ」

「そ、そんな!」

「できませぬ!!」

 皇子に向かって叫ぶ露さんの顔。時雨の顔。五月雨さんの顔。使用人達の顔。皇子は優しい表情をしながら一人づつ見つめる。

「世話になった。この様な患ってばかりの私に今までついてきてくれたこと感謝申す」

「なりませぬ!」

 柔く笑うと引き止める人達を振り払い皇子は部屋を出て行った。私の方は一度も見ずに。