そういえば舎人さんは大丈夫だろうか。この前は沢山飲んで酔っ払っていたけれど……。と、いつもの仲良しコンビを視線で探す。すると、今日はあまり飲んでいないように見える。それにさっきまでふざけて笑っていたのに、どこか翳って見えるのは気のせいだろうか。

「優花殿」

 名前を呼ばれ皇子の方に顔を向ける。

「感謝する」

「え?」

 お猪口を置いた皇子は私の方に身体を向けると頭を下げた。

「誠に感謝している」

「い、いきなりどうしたの?」

 今、感謝されるようなことなんて何もしていないのに。

「優花殿に出会えて誠によかった」

 そっと顔を上げると皇子は清々しい笑顔を浮かべている。
 __どうして、そんな顔をするの?