「疲れたであろう。少し休め」

 皇子の言葉に素直に頷く。けれど寝れるはずがない。でも隣にある熱を、鼓動を、余すことなく感じたくて目を閉じる。
 __幸せ。
 こうしていられることが、とても尊いことだと私は知っている。何気ない日常。何気ない幸せ。未来ならば何気ないどれもが今は尊い。
 出会えるはずがなかった人。触れることなんて到底できないはずの人。

「私にとって皇子は奇跡だよ」

 その存在もこの出会いも全てが奇跡。
 すると嬉しそうに微笑む皇子が私の頭をそっと撫でる。
 どうか、この奇跡が続きますように。と、私はそっと一人祈った。