「優花殿だけは、信じておる」

 強く握り返してくれるその熱に泣きそうになる。皇子の「信じる」という言葉がどれ程に重く特別な言葉か知っているから。

「今この瞬間、隣にいてくれて誠良かった」

 それしかできない私に、それだけでいいと言ってくれる。皇子はどこまでも優しい人。

「私が皇子の傍にいたかっただけ。力になれなくてごめん」

 皇子を助けたいのに私には何もできない。きっと最後の最後まで、こうやって傍にいることしかできないとわかっている。