「皇子様!」

 門の外まで出ると舎人さんと塩屋さんが駆けてきた。だけどそこに大岩さんと境井さんの姿はない。

「構わぬ」

 戸惑う二人を無視して皇子は輿に乗り込む。

「「しかし!」」

「優花殿も中へ」

「待ってよ!」

 そして抵抗する私を無理矢理中へと押し込む。

「大岩さんと境井さんは!?」

「よい」

「良くないでしょ!?」

「もう、よいのだ」

 輿がゆっくりと持ち上がり動き出す。

「……もういいって、どういう意味?」

 自分の声が震えてしまわないように拳を握りしめる。