「……帝らしからぬ、有るまじき行為」

 突然伸びたのは大岩さんの声。

「私も赤兄殿と同じ気持ちでございます」

 やはり昨日と同様、大岩さんは謀反に賛成している。

「しかし、立ち上がる時期ではないと思いますが」

「私もそう思います」

 やっと口を開いた塩谷さんと舎人さんは反対派。そんな二人を、大岩さんと境井さんが一生懸命説得しているようだ。
 その後も、ボソボソとした赤兄さんと大岩さんの声しか聞こえない。皇子はというと一言も発っせずに姿勢を正したまま黙って耳を傾けていた。