衣ずれの音がして皇子の気配をすぐ傍に感じる。

「隣で寝てもよいか?」

「え!?」

 有無を言わせぬ速さで私の隣に横になると自分の衾を掛ける。そして「温かいな」と、子供のように笑う皇子に呆れながらも心が少し落ちつく。

「温かいね」

 この時代の冬は寒い。ストーブも床暖もないし、綿入りの掛け布団だってない。家の中で火を焚くだけで過ごすなんて凄いと思う。だけど、その寒さがより皇子の温もりを感じさせてくれる。

「手、握ってもいい?」

 答えるより先に皇子が笑いながら私の手を握ってくれる。この熱が尊くて愛しい。