「私には、何もできぬ。同罪だ」

 茶色の村を見た時、皇子は今と同じことを言った。あれは大王の失政を知っていたから。民を幸せにしたいと思っているのに何もしない自分を同罪だと責めている。

「私は、己が一番可愛いのだ」

「……そんなの、皆同じだよ」

 勝算のない試合なんて誰も好まない。それも自分の命を掛けるとなったら尚更。
 私はそっとその手を握る。もう、自分を責めないで欲しい。

「……温かい」

 皇子は私の手を握り返しながら笑う。だけどその顔は泣いているように見えた。