「すまなかった」

 髪の毛から熱が離れていく。その切なさに唇を噛み締めながら思う。
 __未来は幸せだったのかもしれない。
 恋愛なんて無縁な私は気づけなかった。自由に人を好きになることが許される未来がどれだけ幸せだったか。
 だけど私にとって命が生き方がどんなに縛られていようと、この世界は未来よりも輝いて見える。
 どんなに自由でも未来には私をこんな気持ちにさせる人はどこにもいなかった。
 本当は気づきたくなかった。だけどこの想いが芽生えてしまった時点で、もう既に遅かった。