「恋煩いとは誠か?」

 静寂に伸びた皇子の声に私は思わず起き上がる。

「き、聞こえてたの!?」

「舎人と塩谷。どちらだ?」

「は?」

 上昇していた血圧が急降下していくのがわかる。

「何、言ってるの?」

「そう見えたのだ」

 なんて言う皇子の目は節穴だ。

「塩谷さんも舎人さんも友達みたいなものです!」と、衝立を突飛ばし寝ている皇子の肩を掴む。

「聞いてる!?」

 私の勢いに皇子は怯えながら首をコクコクと縦に振る。