夕餉のお膳が並べられると、今日は珍しく皇子は盃に入った白く濁った液体を飲んでいる。

「飲むか?」

「私は、まだ未成年だから飲めない」

「ミセイネン?」

「未来だと二十歳にならないとお酒は飲んじゃいけないの」

「そうなのか!? では、私も未来だと酒は飲めぬのだな」

「あれ? 皇子はいくつなの?」と、今更年齢を尋ねる。

「十九歳だ。優花殿は?」

「私は十七歳」

 この時代の年齢の数えかたはわからないけれど、見た目年齢は同じぐらいに見える。ふと、侍女達や家臣達の顔が浮かぶ。考えてみたら名前以外の情報を何も知らない。そう思うと急に距離を感じ寂しくなる。