次に目を覚まさしたのは視線を感じたから。 ゆっくり瞼を開けると漆黒の二つの瞳がこちらを見つめていた。

「っ!」

 慌てて寝返りをうち皇子に背を向けると後ろからクスクスとした笑い声が聞こえた。

「良い寝顔をしておったぞ?」

「み、見ないでよ!」

「もう遅い。この目でしかと見た」

 カッと熱くなる顔を隠していると「誠に愛らしい」と、皇子が言う。
 __愛らしい!?
 あたふたしていると部屋の外から露さんの声がした。

「夕餉の時間にございます」

 もう、そんな時間なのかと溜め息が出る。
 輿でも宿でも寝てばかりの自分が恥ずかしい。