「良い湯だな~」

「誠にございますね」

 侍女達と一旦下がり一息ついていると奥から笑い声が聞こえる。今の私はそんな楽しい気分ではない。次に、どんな仕事を任されるか気が重い。

「優花殿。皇子様の背を」

 ほら、きた。予想はしていた。
 ささっと近づく侍女を横目に私はソローソローと後ろ向きで皇子に近づく。 細くて白い背中だけれど、やはり女の人とは違う身体をしている。

「こ、こうですか?」と、緊張のあまり敬語になってしまった私に皇子は笑っている。
 しかし小さい時にお父さんの背中を洗った以来のブランクがある。しょうがないではないか。