「このような機会は珍しいことだ~。塩谷も舎人も共に入ろうではないか~」と、皇子の一言に我に返った私は五月雨さんに助けを求める。

「私と優花殿は皇子様のお召し物を」

 __はい?服をどうしろと?
 隣で露さんと時雨さんが塩谷さんと舎人さんの服を脱がせ始めてギョッとする。後ろからとはいえ、お、お、お尻が!

「失礼致します」

 五月雨さんは慣れた手付きで皇子の服を脱がしていく。私は皇子の身体を見ないようにしながら、五月雨さんから渡される着物や装飾品をまとめる。そういえば毎朝、侍女の誰かが皇子の着替えを手伝っている。私はこの世界の服の着方がわからないから、その役目を任されたことはない。
けれど、それで良かったと今日気づく。涼しい顔で着物を脱がすことなど私にはできない。パンツのないこの時代で皇子の褌姿など直視できない。