外の冷たい空気には朝の匂いが混ざっている。 どうやら担ぎ手の人は一度休憩しただけで、あとは歩き通していたようだ。なのに寝てばかりいた私を労ってくれる。

「お疲れでしょう。まずは朝餉を召し上がってお休みください」

「皆さんの方こそ、お疲れ様です」

 まだ少しポーッとした頭を下げると家臣と侍女の後について歩く。お邪魔したのは昨日よりも古いお寺。普通の民家より屋根が頑丈になった程度の造りでもこの時代では立派なのだろう。普通の身分ならば、だいたいは野宿で済ませるとさっき侍女から聞いた。