__葉は、私の視線に合わせるように揺れていた。
 念力?幽霊?精霊?次々と非現実的な言葉が頭を過る。今自分がいる場所が墓地なだけに思考と共にこの気持ちもあらぬ方向へと滑り落ちていく。

「坂口ー。早くしろー」

 いつの間にか私と麻美を置き去りにして浜田は遠くから手招きをしている。他の生徒たちもその後ろで、こちらを見ながら笑っているけれど笑い返す気になれずに真顔で近寄る。そんな私とは反対に相変わらず楽しそうな麻美は「最後の大役だね!」なんて言うけれど、もうそれどころではない。
 結んだ紐なんて無視して早く学校に戻りたい。 神社なんて寄り道しないで今すぐ家に帰りたい。 しかしそんなことができるはずもなく私は大人しく浜田に近寄る。