沈黙は気まずいけれど変に話をしてこれ以上機嫌をそこねてしまうのは嫌だから。しばらく黙っていると皇子が簾を上げた。

「見てみよ」

 視線の先には淡い水色を燃やす赤が広がっている。

「……朝日が綺麗」

 いつの間にか随分と山の上まで来ていたらしい。どうりで空気も美味しいわけだ。

「あれは、村?」

 身を乗り出すと麓に茶色の点々が固まっている場所がある。 藁でできてるのだろうか。お家というには、あまりにも質素な造りをしていた。