「は、晴れてよかったね」

「そうだな」

 どこかぎこちない私に朝餉の汁物を啜りながらニッコリと微笑む皇子の機嫌はもう治っていた。
私は安心して残りの玄米を頬張る。
 お寺に来て、いかに皇子の食事が豪華であるかということを知った。ここでは朝も夜も一汁一菜。玄米と汁物とお好みで加える塩が出てくる。もちろんデザートもない。食器も漆ではなく土器。 驚いた私に五月雨さんが教えてくれた。
 それが、この時代の庶民の生活なのだと。

「世話になったな~」

「ありがとうございました」

 私達はご住職に挨拶をし出発をする。
 きっと今は早朝だ。空が朝焼けに染まる前の淡い紺色をしている。