それから私達は住職さんに挨拶をして各々の部屋に通された。私と皇子は当然のように同じ部屋。先に部屋に入ったのを見て少し前を歩く塩谷さんに声をかける。

「塩谷さん。さっき皇子を見て笑ってたでしょ」

「私ですか？」

　まさか、無自覚？

「さっき皇子が話していた時！」

「ああ」

　思い出したのか塩谷さんが私の耳元で囁く。
　その言葉に思わず声を上げると後ろに気配を感じた。

「そういうことですので」も、塩谷さんはニヤニヤしながら赤くなる私の肩を叩くと去っていった。

「どうしたのだ？」

　振り返ると部屋に入ったはずの皇子が仁王立ちしている。