「あ、いや。そ、それより! さっき塩谷さんに普通の態度をとっていたけど大丈夫なの?」

 上手く回らない頭で適当に話題を変えてみたけれど「致し方ない」と、そっぽを向かれてしまう。皇子の気持ちを理解するのは難しい。

「ゆ、湯はどれぐらいで着く?」

「三日もすれば着くであろう」と、やっと普通に答えてくれたのはいいけれど……。

「み、三日!?」

 思わず声が裏返る。
 この時代はそれが普通なのだろうか。ならば担ぎ手は三日もこの輿を担ぎ続けるということになる。それに皇子の側近や侍女達は後ろから歩いて着いてきているけれどそれを三日間も……。驚きのあまり開いた口が塞がらない。