さっきから、微動だにしない浜田の薄くなった後頭部を見つめながら途方に暮れる。自分のご先祖様の墓参りも手短に済ませるのに、他人のましてや遥か昔の人の墓前に長期滞在は辛すぎる。

 __退屈だ。

 見上げた空はどよんとした鉛色で、まるでこの心を表しているみたいだ。さすがにスマホは触れないし、お喋りもできない。何かないかと視線を彷徨わせ続けていると、赤く染まった紅葉が目に止まる。
 一人寂しく紅葉狩りか。と、ぼんやり眺めていると赤い葉がソヨソヨと揺れている。風が優しく葉を撫でているのだろう。
 しかし、ふと気づく。私の髪や制服のスカートの裾は揺れていない。不思議に思いながら赤い葉の隣で静かに身を潜めるようにしている黄色い葉に視線を移す。すると、途端にソヨソヨと揺れだした。
 __風は吹いていない。