長い睫毛が影を落とし形の良い唇が小さく開いては閉じる。

「できたか?」

「あ、いや、まだです」

 慌てて目を逸らすと今度こそ歌に意識を集中させる。

「こんな感じかな」

「どれどれ」

 真剣に私の歌を採点する皇子の姿を、まだ直視できない。

「なかなか、良いではないか」

「え?」

「優花殿らしいな」と、皇子がふわりと微笑む。

「最後に、ここに名を書くのだ」

 言われた通り歌の下に名前を書くと皇子の細い指が私の名前に触れる。