落胆していると皇子が丁寧に歌を教えてくれる。どうやら形式があるらしく覚えてしまえば簡単なのだとか。だけど未来の私達が遣わない言葉だらけ。最初は戸惑ったけれど皇子の教え方は上手かった。

「では、試しに詠んでみよ」

「う、うん」

 胸の鼓動はやっと治まり私は真剣に歌と向き合う。それでも時折、隣にいる存在が気になってしまいチラッと横目で盗み見する。どうやら皇子は色々な歌を創作しているようだ。
 スッと背筋を伸ばし真剣な顔をして細長い指で筆を動かしている。