「ほれ。これでも食べよ」

 泣いている赤子をあやすように皇子は懐から私のあげた飴の袋を取り出す。

「……ダメ。それは皇子のだから」

「友達の証なのだから優花殿の物でもある」と、私に差し出した桃色の飴を夕日に照らして見せる。

「見てみよ。綺麗だぞ?」

「……皇子の方が綺麗だよ」

 一瞬、きょとんとした顔をしたけれどすぐに笑顔にかわる。綺麗なのは飴じゃない。飴を綺麗だと、そう言って笑っている皇子のほうだ。
 私にとって皇子は、いつだって輝いて見えるんだ。