「しばらくは、欺くことができるであろう」

 __しばらく。
 それはいつか、殺される日がくるかもしれないということ。

「……怖くないの?」

 どうしてそんなに、優しく笑っていられるのだりう。

「殺されちゃうかもしれないんでしょ?」

 今は誤魔化せていても、いつかはバレてしまうかもしれない。私には、どうしてそんな顔をしていられるのかわからない。

「慣れておるからな」と、微笑む顔に嘘はない。どこまでも優しく穏やかで悲しい。

「……私にはできないよ」

 殺される覚悟も皇子のように悟ったように生きることも。きっと見苦しい程に足掻いてしまうし、この身分から逃れようとする。