「そうそう。最後に広げさせて……」

 皇子が不器用な手つきで羽の部分をゆっくりと開く。仕上げに形を整えてやると小さな鶴の完成だ。

「……何と摩訶不思議な」

 感心している皇子の前で私は素早く和紙を織っていく。

「あとは……。ちょっと、筆貸して?」

「筆か?」

 渡された墨のついた筆で目と鼻とヒゲを書き足すと……。

「おお! 猫ではないか!?」

「正解!」

 ピカピカと目を輝かせながら私の織った猫を眺めていたと思ったら、今度はこの手を掴み指先をジッと見つめる。