「すごいね! 私も、あの大役やりたかった!」

 また歩き出すと興奮気味に麻美が話しかけてくる。変われるものなら変わりたい。そう思っている私には、麻美の気持ちが理解できない。

「今度は、立候補しなよ」

 そう言いながら、私は溜め込んでいた息を吐き出した。たまには別の場所へ行きたい。せっかく近くに海だってあるのに、浜田はいつだって同じ場所しか選ばない。
 確かに課外授業という名目上、遊びに行くわけではないとわかっている。しかしもう少しバリエーションを求めても、バチは当たらないと思う。
 確かに近場で有名な歴史といったら、さっきの皇子が関係したものしかないのかもしれないけれど。地元の人間ならば子供の頃に一度は行ったことがある場所を、高校生にもなって頻繁に訪れて何をどう楽しめというのだ。それも決して楽しい場所でもないのに……。

 __心底、飽きた。

 麻美と浜田を除いては、その言葉しか出てこない。