彼は私を光莉(ひかり)と呼ぶたった一人の人だ。 やっと思い出すことができた。 ベッドの上で目を開ける。こめかみに涙が伝い、耳朶(みみたぶ)を濡らした。 カーテンの隙間からは、青空が広がっているのが見える。 昨日の雨が嘘のようだった。