隼人はこの卒業旅行が終わったら、東京に引っ越してしまう。
最後の思い出作りたいな……
周りを見渡すと、エンジェルロードを歩いているのはカップルだらけで男2人は僕達だけだった。
大切な人と手を繋いで渡ると願いか叶う。
僕はその言い伝えを頭に浮かべたが、すぐさま首を横に振る。
願いは叶うわけないから。
「よしっ、有。エンジェルロード。渡るか!」
少し感傷的になっている僕の事など、相変わらず全く気がつかない様子で、隼人はいつものように元気良く歩き出す。
この道を渡り終えたら、僕達は別々の道を歩む事になる。
隼人は寂しくないんだろうな。僕と離れても…………
切なさを感じながら、後に続いて歩き始めた僕にチラッと隼人は視線を向けた。その何か言いたげな目にどうしたんだろ?と疑問に思っていると、隼人の右手が僕の左手をいきなり握り、僕は驚き、慌てふためく。
「……っ。な、なんだよ!!」
「罰ゲームで手も繋げって言われてただろ?」
胡麻化すように早口で説明する隼人に僕の心臓は爆発寸前だ。
「い、言われてたけどさ。別に手を繋いで渡らなくても。一瞬だけ写真撮ればいいんだからさっ」
「……でも、大切な人と手を繋いで渡ると願いか叶うんだろ? じゃあ、手を繋いで渡ろうぜ」
「はぁ……?」
隼人の言葉に僕の心臓はドクンと飛び跳ね、猛スピードで波打ち始める。
大切な人と手を繋いで渡ると願いが叶う。
大切な人と……
それは……隼人にとって、僕は大切な人って事?
「いや……か?」
珍しく自信なさそうな声でおずおず聞く隼人に僕はドキドキして、視線を外してしまう。
「いや…………じゃ……ない」
つっかえつっかえ返事をすると、隼人はホッとしたように満面の笑みを見せた。
「よし、じゃあ、渡るぞ」
隼人のごつくて男らしい手が僕の手をギュウと強く握りしめる。手から伝わる隼人の体温に恥ずかしさと嬉しさで僕の胸はいっぱいになり、今にも倒れそうになった。
エンジェルロードを歩いていると、周りのカップルがチラチラと僕達を見る。僕は急に恥ずかしくなり、やっぱり……と手をほどこうとした。が、隼人は更にぎゅっと握りしめる。
「最後まで、手を繋いでこの道を歩かないと願いが叶わないんだろ?」
「う、うん……いや、でも」
「有の願いはなんだ?」
僕の願いは……隼人の1番でありたい。高校卒業後、別々の道に進むけど僕の事を絶対に忘れないで欲しい……なんて事、言えない。
「あーーー、大学が楽しめますように……かな」
「そっか……」
「うん。あ、隼人がラグビー頑張れますようにって、ついでに願っといてやるよ」
思いがバレないようおもしろおかしく喋ったが、本当はそれも僕の大切な願い。
ラグビーをプレイしている時の隼人が僕は好きだ。隼人には、いつもいつまでも輝いていて欲しいから……
「俺は……自分で選んだ道とは言え、有と離れるのが寂しくて仕方がない。お前が俺の知らないところで好きな奴とかできるのかと思うと……」
ぼそぼそと話す隼人の言葉に僕は目を見開いた。繋いだ手から隼人の体温がどんどん上がっているようにも感じる。
「お前に……その……彼女とか……できたら、なんか嫌なんだよ」
「できない。彼女なんかできない」
「わかんねーだろ。お前、綺麗だし。良い奴だし」
「できないよっ! 隼人以外に好きな人なんてっ!」
思わず僕は自分の本音を返答してしまう。ハッと気がつき、咄嗟に口元を手で隠す。恐る恐る隼人を見ると、驚きながらもすごく嬉しそうな目で僕を見つめていた。
「…………またさ、エンジェルロード、2人で歩きにこようぜ」
隼人が真っ赤な顔でぼそりと言った言葉に、僕は泣きそうになりながら、小さく頷いた。お互い照れてしまい、そっぽを向き……でも、しっかり手を繋ぎながら、僕達はこの白い砂の道を渡り終わる。
最後の思い出作りたいな……
周りを見渡すと、エンジェルロードを歩いているのはカップルだらけで男2人は僕達だけだった。
大切な人と手を繋いで渡ると願いか叶う。
僕はその言い伝えを頭に浮かべたが、すぐさま首を横に振る。
願いは叶うわけないから。
「よしっ、有。エンジェルロード。渡るか!」
少し感傷的になっている僕の事など、相変わらず全く気がつかない様子で、隼人はいつものように元気良く歩き出す。
この道を渡り終えたら、僕達は別々の道を歩む事になる。
隼人は寂しくないんだろうな。僕と離れても…………
切なさを感じながら、後に続いて歩き始めた僕にチラッと隼人は視線を向けた。その何か言いたげな目にどうしたんだろ?と疑問に思っていると、隼人の右手が僕の左手をいきなり握り、僕は驚き、慌てふためく。
「……っ。な、なんだよ!!」
「罰ゲームで手も繋げって言われてただろ?」
胡麻化すように早口で説明する隼人に僕の心臓は爆発寸前だ。
「い、言われてたけどさ。別に手を繋いで渡らなくても。一瞬だけ写真撮ればいいんだからさっ」
「……でも、大切な人と手を繋いで渡ると願いか叶うんだろ? じゃあ、手を繋いで渡ろうぜ」
「はぁ……?」
隼人の言葉に僕の心臓はドクンと飛び跳ね、猛スピードで波打ち始める。
大切な人と手を繋いで渡ると願いが叶う。
大切な人と……
それは……隼人にとって、僕は大切な人って事?
「いや……か?」
珍しく自信なさそうな声でおずおず聞く隼人に僕はドキドキして、視線を外してしまう。
「いや…………じゃ……ない」
つっかえつっかえ返事をすると、隼人はホッとしたように満面の笑みを見せた。
「よし、じゃあ、渡るぞ」
隼人のごつくて男らしい手が僕の手をギュウと強く握りしめる。手から伝わる隼人の体温に恥ずかしさと嬉しさで僕の胸はいっぱいになり、今にも倒れそうになった。
エンジェルロードを歩いていると、周りのカップルがチラチラと僕達を見る。僕は急に恥ずかしくなり、やっぱり……と手をほどこうとした。が、隼人は更にぎゅっと握りしめる。
「最後まで、手を繋いでこの道を歩かないと願いが叶わないんだろ?」
「う、うん……いや、でも」
「有の願いはなんだ?」
僕の願いは……隼人の1番でありたい。高校卒業後、別々の道に進むけど僕の事を絶対に忘れないで欲しい……なんて事、言えない。
「あーーー、大学が楽しめますように……かな」
「そっか……」
「うん。あ、隼人がラグビー頑張れますようにって、ついでに願っといてやるよ」
思いがバレないようおもしろおかしく喋ったが、本当はそれも僕の大切な願い。
ラグビーをプレイしている時の隼人が僕は好きだ。隼人には、いつもいつまでも輝いていて欲しいから……
「俺は……自分で選んだ道とは言え、有と離れるのが寂しくて仕方がない。お前が俺の知らないところで好きな奴とかできるのかと思うと……」
ぼそぼそと話す隼人の言葉に僕は目を見開いた。繋いだ手から隼人の体温がどんどん上がっているようにも感じる。
「お前に……その……彼女とか……できたら、なんか嫌なんだよ」
「できない。彼女なんかできない」
「わかんねーだろ。お前、綺麗だし。良い奴だし」
「できないよっ! 隼人以外に好きな人なんてっ!」
思わず僕は自分の本音を返答してしまう。ハッと気がつき、咄嗟に口元を手で隠す。恐る恐る隼人を見ると、驚きながらもすごく嬉しそうな目で僕を見つめていた。
「…………またさ、エンジェルロード、2人で歩きにこようぜ」
隼人が真っ赤な顔でぼそりと言った言葉に、僕は泣きそうになりながら、小さく頷いた。お互い照れてしまい、そっぽを向き……でも、しっかり手を繋ぎながら、僕達はこの白い砂の道を渡り終わる。