「正直に言わせてもらうけど遊びたくないから断ってんの、一人にしてほしいの」
 言ってから、イライラしていることに気付く。ああ、これが駄目だったんだ、と分かっているのに歯止めが効かない。
「何でそんなこと言うの? 私たち、唯一同じ中学からの友達じゃん。高校に上がってから様子がおかしいよ」
「本当にうるさいな、どうだっていいじゃん、別に。大体さ、何そのピアス? そういうキャラじゃないじゃん、髪も短くしちゃってさ、似合ってないよ、それ」
「酷い……」
 そんなの、分かっている。でももう止まらなかった。
「それに私たち友達だったっけ? 同じグループにいただけじゃん、友達の友達くらいだったでしょ」
「じゃあこれからは仲良く」
「出来ないよ、したくないもん。しつこいし私の真似してくるし、嫌だよ」
「じゃあもういいよ!」
 頬に衝撃があった。紬が走り去っていく。熱と痛みを主張してくる頬に、叩かれたのだ、と理解した。
 叩かれても、仕方ないことを言った。言ってはいけないことも、言った。ため息が出た。鼓動が速い。こんな風に、人を傷付ける言葉を私は知っている。私は、最低だ。
 帰路について、自室のベッドで夜が来るのを待った。そんな日ほど晩御飯とか、お風呂に入る時間とか、遅く感じる。体育座りをして時間が訪れるのをジッと待つ。そういえば、望月くんもこういう座り方をしてたっけ。……人の真似をすると、落ち着く気がする。紬も、そうなのかな。気付いたところで遅いが、夜が来るのをただただ待って、やっと眠りについた。
「今日は俺の方が早かったか」