もわもわとしていた空間が次第にクリアになっていく。そろそろ起きる気配を感じ、どちらともなく手を挙げた。
「じゃ」
次の瞬間、私は目を覚ましていた。白い天井が視界に入り、上体を起こして腕を伸ばす。カーテンから僅かに差し込む初夏の日差し。よく寝た。いつだって目覚めは良い。望月くんと話したり遊んだ後も行為自体は睡眠だから、疲れはしっかり取れている。また今日という一日が始まった。
私にだって友と呼べる人はいる。ちょうど支度を済ませると、待ち合わせの時間に遅れた私のために幼なじみが迎えに来てくれた。高校は違うから駅までだが、中瀬花乃子は唯一そうだと言える。私が気兼ねなく話せる相手。
「今日も暑いねえ」
「まだ梅雨にもならないのにね」
何気ない会話。額に汗が滲むのを感じながら、横目に彼女を見やる。
腰まで伸びた髪が歩く度にさらさらと流れ、少し小さな目が瞬きを繰り返す。真っ白な肌は日焼け対策をしていると言っていた。両手で鞄を持って、まさにおしとやか。
「なに?」
私の視線に気付いた花乃子が首を傾げる。いや、と前置きして続けた。
「花乃子は学校で上手くやれてる?」
「うん、それなりに。友達も出来たし、勉強もついていけないって程じゃないかな。歩咲は?」
問いかけられ、本当のことを言うべきか、悩んだが、まあ花乃子なら、と口を開いた。
「じゃ」
次の瞬間、私は目を覚ましていた。白い天井が視界に入り、上体を起こして腕を伸ばす。カーテンから僅かに差し込む初夏の日差し。よく寝た。いつだって目覚めは良い。望月くんと話したり遊んだ後も行為自体は睡眠だから、疲れはしっかり取れている。また今日という一日が始まった。
私にだって友と呼べる人はいる。ちょうど支度を済ませると、待ち合わせの時間に遅れた私のために幼なじみが迎えに来てくれた。高校は違うから駅までだが、中瀬花乃子は唯一そうだと言える。私が気兼ねなく話せる相手。
「今日も暑いねえ」
「まだ梅雨にもならないのにね」
何気ない会話。額に汗が滲むのを感じながら、横目に彼女を見やる。
腰まで伸びた髪が歩く度にさらさらと流れ、少し小さな目が瞬きを繰り返す。真っ白な肌は日焼け対策をしていると言っていた。両手で鞄を持って、まさにおしとやか。
「なに?」
私の視線に気付いた花乃子が首を傾げる。いや、と前置きして続けた。
「花乃子は学校で上手くやれてる?」
「うん、それなりに。友達も出来たし、勉強もついていけないって程じゃないかな。歩咲は?」
問いかけられ、本当のことを言うべきか、悩んだが、まあ花乃子なら、と口を開いた。