七月の下旬。

 夏休みに入っている。


 あの日以来。
 千耀(ちあき)とは話をすることができていない。



 このまま。
 千耀と気まずい状態が続いてしまうのだろうか。



「おはよう、碧海(あみ)くん」


 近所を軽く散歩をしている。

 そのとき。
 同じ町内の沢井さんに会った。


「ねぇ、碧海くん。
 海外に行ったことある?
 私、行ったことないのよねぇ。
 実際、どんな感じなのかしら」


 沢井さん?

 なぜそんな質問を?


「俺もないです」


「碧海くんもないのね。
 なんかね、柚井(ゆい)さんのところが行くみたいなの」


 え。

 まさか。