噂は。
 事実ではない。


「何言ってんだよ、
 そんな噂、本当なわけないだろ」


 だけど。
 告白はされている、千耀(ちあき)に。

 そんなこと。
 言えない、誰にも。


「そうなんだ、
 ちょっとつまんねぇ」

「俺も」


「お前ら、
 なに面白がってんだよ」


「だってさ、
 実際に仲が良いじゃん、飛倉(お前)柚井(ゆい)
 ほぼ毎日、登下校してるし」


「それは、
 俺と千耀の家が近所で、
 たまたま家を出る時間が合うだけだ。
 下校のときも、
 たまたま教室を出る時間が同じなだけだ」


「そうなのか」


「そうなんだよ。
 それに千耀(あいつ)、男だろ。
 初めから恋愛対象にならねぇよ」


「なるほど」


「そういうことだ。
 だから、そんな噂に振り回されないで――」


 え。

 えぇっ⁉


 ちょっと待て‼

 ウソだろっ⁉