鈴木は、面接室の椅子に座っていたにいた。
手元の書類を見ながら鈴木は目の前にいる青年に問いかける。
「君の名前は、田村君であってるかな?」
向かいに座っている青年はコクリとうなずく。向かいの青年、田村耕作は大学4年。専攻は機械工学。いわいる‘‘就活‘‘でこの動物園に機器メンテナンスの係を志望して面接を受けに来た。
「なんでウチを志望したの?」
鈴木がそう聞くと、田村は
「ここに就職すると機会を扱う仕事がたくさんできるって聞いたので志望しました。」
田村はにこやかな表情でそう答えた。
鈴木は思わず「う~ん」とうなってしまう。「うちの扱ってる機械は機械の中でもかな~り特殊な機械だけど、、、」
「特殊?どういう事です?」
「生きてる機械っていうか、、」
「サイボーグってことですか?」田村は笑いながらたずねる。
「うん、簡単に言えばそうだね。でも僕たちはそのことをサイボーグじゃなくて‘‘人造動物‘‘と呼んでいる。まぁ、ひとが作った動物ってことかな。」
田村は、面接室の壁に貼ってある、この動物園の動物の十数枚のポスターを見ながら
「えっと、、、この中だと、どれがその人造ナンチャラ何ですか?」
と、鈴木に聞く。鈴木は、田村の質問に対して簡潔に「全てだ」と、答えた。そして鈴木は、
「これを踏まえた上でもう1度ここに就職するか考えなおしてくれ。」
鈴木は、このことを知ったらもう就職は諦めるだろうと思っていた。だが、田村の答えは即答だった。
「やっぱりここに就職したいです。これは考え直した結果の答えです。」
こうして田村は、この動物園。大泉動物園に機器メンテナンス係(実質、飼育員)として就職することになったのだった。