───幸せのその先 翼side───
朝、俺は枕元に置いてあるスマホにかかって来る真陽からのモーニングコールで起きる。
『先輩、おはようございます』
「…ん〜おはよ真陽」
真昼の寝惚けているんだろうなというようなボソボソとした声を聞きながら俺も覚醒していく。
俺は毎朝のこの時間が好きだ。
真陽と付き合い出してから早2ヶ月
2月になり俺はもうすっかり自由登校になり、学校内で遭遇することもなくなった。
なので、毎朝真陽がモーニングコールをかけて寂しさを埋めている。
『先輩、今日放課後デートしませんか?』
「いいよ。学校まで迎えに行こっか?」
「お願いします」

放課後の時間に合わせ真陽の迎えに行く。
「先輩!」
「真陽!」
真陽が小走りで駆け寄り、真陽が精一杯に両手を広げて俺に抱きつく。
それに応えるように俺も真陽を抱きしめる。
いつまで抱き合っていたんだろうか辺りが段々騒がしくなるのを感じ、真昼は慌てて俺から離れると、早く行こうと俺の服の裾をちょんちょんと引っ張る。
「あぁ、行こっか」
こうして歩き出すと後ろを真陽がちょこちょこと着いて来る。
そして真陽が俺に追いつき、ギュッと俺の手を握る。
俺も真陽の手を握り、2人並んで最寄りの駅に行き、電車に乗り、隣町のゲーセンに寄ったり、雑貨屋に寄ったりして暫く遊んでいると日が暮れ空を見上げると星空が広がっていた。
「わ、もうこんな時間…」
スマホを見た真陽が呟く。
「送ってくか?」
「…じゃあ、お願いします」
こうしてふたりの時間を過ごし、愛を育みながら日が過ぎて行き、俺は高校を卒業した。