【あと何回、って泣き暮れる君の隣で生きたい。】
 それが曲のタイトルだ。
 私はあと何回死にたい消えたいって思えばいいんだろうと泣き暮れることがこの4年毎日のようにあった。特に勉強をしながら一睡もできないことが多く、そのまま寝落ちすることも頻繁にあった。
 でも奏翔はそれ以上に死にたい消えたいと泣き暮れる日々を長年過ごしていたのではないか。
 そんな予感がして、私はその奏翔の隣でこれからを生きたいと決意し、このタイトルにした。これ以外に良いタイトルといえば、何も思いつかない。というより、これしか思いつかなかった。でも私が伝えたい本音であることは確かだ。 
 それを奏翔に見せると俯いたまま何も言葉を発しなかった。
 掴んでいる奏翔の腕が震えているように感じる。それを安心させようと顔を覗き込みながら私は口を開く。
「私、隣で弾いてるから一緒に弾こう」
 奏翔の目元には熊ができていて、寝不足なことが窺える。表情も沈んでいて、しおれているようだった。
 奏翔の背中を押すように先に前に踏み出し、彼の腕を引く。それからひとり用の椅子に肩を寄せ合って座った。その途端、胸がドクドクと鼓動を打ち出す。
 こんな状況は前にも奏翔とお試しで付き合い始めて2日目にあった。
 奏翔が私にピアノを弾いてくれて、それに心が動かされたこと。
 泣きながら閉じこもっていた図書室から出てきて引き寄せられるように近くへ行ったこと。