「あと、これ。意味、わかるか?」
 泉平くんはふと思い出したようにペンを置き、こちらを向いた。それから人差し指を出し、右手を手首をひねるようにしてひっくり返しながら横に移動させる。
 そのクイズのようなものを出された途端、頭の中はクエスチョンマークでいっぱいになった。
 何かを表しているようではあるがまるでわからず、ひとつの答えも出てこない。
「わからないよな。今度教えてやるよ。もし、楓音さんが知らない奏翔を知ることができて、定期演奏会が無事成功したらな。普通に話しながら紙に書いたりメッセージ送るのもいいけど、覚えたら楓音さんが知らない兄貴ともっと話しやすくなるよ」
 困惑していると、泉平くんはさもわからないのが当然かというように言ってきた。
 そのアドバイスのような言葉の意味はわからず、どういうこと?と聞こうとしたが、それは奏翔が教えてくれるだろうと割り切り、曲作りの方に専念することにした。