俺はすぐに、母親がカバンに付けてくれていた、防犯ブザーを迷いなく鳴らした。

すると、大きい音にびびったのか、一瞬男の人があおの手を離した。

『あお!』

その瞬間、あおを大きな声で呼び、俺らは手を繋いで思いっきり走って逃げたんだけど…

あの時は、さすがに、ビビったなぁと久しぶりに思い出した。

俺も怖かったけど、あおはもっと怖かっただろうなって思った。

だって、あの時のあおの手が少し震えていたのを今でも覚えていた。