* * *

 今日はいよいよハルとデートだ。

 時間より早く着くように早めに家を出たが、待ち合わせ場所にはもうハルの姿があった。

「あ、ルナ!」

 ルナの姿に気がついて、ハルが駆け寄ってきた。

「ごめん、待った?」

「ううん、待ってないよ」

 ハルのニッとした笑顔に、ルナもつられて笑顔になる。

 しかし、同時に切ない気持ちにもなった。3月1日……ハルが天界へ連れて行かれてしまうまで、もう残り2週間ほどしかなかった。

 だが、2人でいる方法は思いつかなかった。どうしたら、ハルを天界へ連れて行かれずに済むのか、ルナには分からなかった。

──あと何回、この笑顔が見られるのだろう。

「……ルナ、どうかしたの?」

「あ、ううん!何でもないよ……」

「そう?ならいいんだけど……」

 するとハルはルナの手を握って悪戯っぽく笑った。

「早く行こう。エスコートしてくれるんでしょ?」

 その笑顔に、ルナは滅法弱かった。

「うん……任せて」

 ルナは先程までのネガティブな思いを振り払って笑った。

 そうだ。2人でいる時間を、楽しいものにしなければ。

 ルナはハルの手を引いた。

「今日のために色々調べたんだ。エスコートさせて」

「うん!」

 ハルは明るい笑顔で頷いた。