* * *

 2人は学校を出て、帰り道を走り抜けた。

 走って……あっという間に家の前だ。

「ちょっと、景太!どうして……」

「だって、隠すことないだろ?」

「でも、景太のこと好きな子は沢山いて……」

「でも、俺が好きなのは百合だから」

 平然と言ってのけた景太に、百合は顔を赤くした。

「……簡単に言っちゃうんだから」

 百合は溜息をついて、微笑む。

「……私も好きだよ」

「百合……!」

 景太は嬉しそうに笑いながら百合を抱き締めた。

「ちょっと!恥ずかしいでしょ!」

 百合は慌てて景太の腕を振りほどこうとするが、力が強くて振りほどけない。

「ごめん。でもなんかこうしたくなって……」

「も、もう……仕方ないんだから」

 百合は景太を抱き締め返した。

 ……きっとこれからも、マイペースな幼なじみに振り回されるのだろう。

 でも、それも悪くない。ずっと一緒にいるんだから。

 百合は幸せそうに微笑んだ。