* * *

 修学旅行が終わった。駅から翔北高校へ向かっていたバスも、学校の駐車場に到着する。 

「なぁ、ルナ、結局遊園地でどこに行ってたんだ?」

 バスから降りるなり、景太はルナに尋ねた。

 正直に答えるのが恥ずかしくて、ルナは誤魔化すように笑った。

 その様子を見て、景太はじとっとした目をルナに向ける。

「お前、何か隠してるな?分かった。俺が当ててやる」

 景太はそう言うと手を顎に当てて考え始めた。

「ルナの隠し事……ハルのことしか思いつかない……あの場に居た大量の南野女子の生徒……つまり、ハルと何かあったんだな」

「……当たり」

 ルナは少し迷って事実を伝えることにした。

「付き合うことになったんだ。ハルと」

 ルナの言葉を聞き、景太は目を丸くした。

「いつの間に……まぁでもよかったじゃん」

 驚いた様子の景太だったが、やがてニカッと笑った。

「お前が嬉しそうでなによりだよ」

 少しの間だけだけど……ルナはそう言いそうになって慌てて口をつぐんだ。  

 大天使の娘を見つけて殺す。そして、自分は魔界へ帰るのだ。

 しかし、その限られた時間の1秒でも長く、ハルと一緒に居たかった。   

(ハルに会いたいな……)

 ルナは1人で空を見上げ思った。